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「ちえの輪倶楽部」は、音楽教育家・北村智恵を中心とした、ピアノ指導者サークルです。
音楽セミナーやイベント、コンサートを企画・運営、またピアノ指導者のネットワークづくりを行っています。

会員レポート

ちえの輪倶楽部会員 個々の活動

2004年

「発表会の企画」について―『発表会を見つめ直して』下―
 7月21日。ちえ先生に来ていただく、私たちの教室の発表会の本番を迎えました。前日は、不安で眠れないほどでした。
 「ピーターと狼」のリハーサルの模様までを、前回書きましたが、不安のひとつは、「ピーターと狼」の進行でした。リハーサルの後、生徒たちは、自分の演奏以外に、それぞれ係りをもつことになりました。生徒にあった高さの足台をピアノの下から素早く出し入れする係、4手と6手連弾が混じっているのでその時の椅子の移動係、物語にあわせて大型絵本をめくる係などです。また、フィナーレでは、全員が舞台に登場しますので、その時、上手と下手から分かれて入場します。そのスタンバイを考えると、仕事や演奏を終えたら次の用意のためにいつどこに行き、また、その次の仕事のためにどこに行くのか、一人一人違うということになります。43人の出演者ひとりひとりに、その都度、私たちが指示を出すことはとてもできません。生徒たちが自分で覚えて行動しなくてはいけません。そして、一人でも持ち場に遅れたり、忘れる人がいては、流れが止まってしまいます。生徒たちはきちんとできるだろうか、とても不安でした。ところが、生徒たちは、自分で行動しないと流れが止まるということをきちんと感じ、全員がそれぞれの場所で各自準備をし、絶対に遅れたり出忘れたりしないように、自分の出番以外も固唾をのんで舞台の進行を見守りました。私は、これだ!と思いました。つまり、自分の演奏だけで、他の人には無関心というわけにはいかない状況になったのです。私たちは「どうして今頃こんなところにいるの?早く○○へ行って準備しなさい。」とか「A子ちゃんがいない。早く探してきて。」なんて一言も言わなくてよかったのです。むしろ「フィナーレのために並ぼうか」と思ったときには、自分たちで並んで待っている状態でした。
 フィナーレで一人一人の名前がよばれて、お辞儀をするとき、生徒たちは皆、本当に誇らしい顔だったよ、とお客さんが言ってくださいました。リハーサルや道具作りなど時間をとるのは負担にならなかったかな、と心配していたのですが、生徒たちの笑顔を見て、やってよかったと思ったのは、私たちも生徒も同じだと思います。本当に智恵先生のおかげで、私たちも少し成長することができました。ありがとうございました。
 次に、先生にご指導いただいて、これまでと違ったことをいくつかしてみました。それについて書こうと思います。
 まず、お辞儀の仕方ですが、先生は、発表会でいつものように歩いて、いつものようにお辞儀ができると、その子の演奏は100%うまくいくと言われました。これまで、発表会だから、と2・3回前のレッスンから急に歩き方とお辞儀の仕方を教え、練習させていた私はびっくり。あわてて、普段のレッスンの挨拶で相手(レッスンでは先生)の顔を見る、心を込める、を徹底しました。また、椅子の高さも自分で直せるように、毎回のレッスンで実行しました。すると、ホールでも、自分で椅子の高さを変えることができ、先生が出て行くことがなくなりました。いつもの歩き方で歩き、いつものおじぎをし、いつものように椅子を直すことではじめていつものように演奏できる。「今年は去年よりあがらないで弾けた!」と嬉しそうに言う生徒に、「ごめんね、これまで気付かないことが多くて。」と、心の中で謝りました。
 他に新しく取り入れた事は、ソロのリハーサルです。本番一週間前に行いました。お互いの演奏を聴きあうことで、仲間意識を作ってほしかったのです。自分の演奏ばかりでなく、友達がどんな気持ちで弾いているのかを知り、演奏の前と後のあたたかい拍手を贈ることを身に付けてほしいという思いでした。これは多くの面でとても効果がありました。
 例えば、リハーサルで、暗譜が間に合わず、つっかえながら、手を震わせて弾いた生徒がいます。私は見ていられない程でしたが、生徒たちは、「きれいな音やった。」「いいメロディーやった。」と、次に会った時口々に言いました。実際彼女は、ゆったりとした曲をきれいな響きで弾けるようになってきたので、きれいな音でメロディーを際立たせることを目標にして練習してきていました。生徒たちがそのよい所を見つけ、応援してくれた事にとても感動しました。彼女にもそのことを伝えると、とても喜んで、本番で少しやり直しがありましたが、暗譜で、自信を持って弾く事ができました。彼女は、中一で、クラブも忙しく、発表会が終わったらレッスンをやめると、お母さんからもうかがっていたのですが、「もう少しやってみる。」と、今も続けています。私のどんな一言よりも、同じ教室の仲間に認めてもらうことが、大きな力になるんだと感じました。
 ほかには、生徒が出演者順に客席に座ったことです。こうすることで、自分の出番がわかり、また、自分の前後の出番の人と親しくなることで、舞台袖で待っているときに、一人で緊張しているということがなくなりました。全員が最後まで聴けて、保護者の方にも好評でした。
 よいことばかり書きましたが、演奏面の拙さ、連弾では呼吸が合わせられない、聴きあうことができない、などなど、これからの課題もたくさん目立った会になりました。よく考えれば、それらは普段のレッスンでしていないことばかりです。「発表会は自分自身が問われる場」毎回のレッスンそのままと痛感しました。積み重ねが大切、急にいいことはできません。 最後になりましたが、ちえの輪倶楽部の方もいらしてくださり、貴重なご意見をいただきました。こんな心強いことはなく、とても嬉しく思いました。これからも、こうしてお付き合いの輪が広がっていくことを楽しみにしています。ありがとうございました。
(奈良市 M.M.)




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