ちえの輪倶楽部のはじまり

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ちえの輪倶楽部
発足にあたって/北村智恵

人生には、予期せぬできごとや思いがけない不幸、
そして不可抗力なできごとも往々にしてあります。
そんなとき、生死を分かつほどのぎりぎりのところで、
人を救ったり支えたりするのは一体何なのでしょうか。
ちえの輪倶楽部のはじまり

最も幸福なことは、そして理想は、それが家族・親友・恋人 など、「人の愛」であることです。 でも、そのような「人の愛」 に出会えた人も出会えなかった人をも含めて、すべての人間を、究極のところで救ったり支えたりできるのは、やはり私は、宗教と芸術しかないような気がします。私の場合は、それが「音楽」という芸術だったのです。

私が、今も、一人でも多くの人たちと音楽するよろこびや感動を分かち合いたいと思い、 音楽教育の仕事を選んだのは、ただそれだけの理由です。 自分が本当に悲しかったとき、本当に孤独だったとき、本当にさびしかったとき、本当に辛かったとき、―― 子どものときからずっと ―― その時どきのそんな自分を、慰め、励まし、生きる力に繋ったのが「音楽」だったからです。 そして、とりわけ、子どもや「障害」児・者、高齢者と呼ばれるような社会的弱者に目が行ってしまうのも、恐らくそういう理由からだと思います。

ピアノが上手になることではなく、ピアノを通して、人が生きていく力を持てること、そのような音楽教育をずっと目指してきました。 本物の音楽を求めていれば、必然的にピアノもうまくなるはずです。 そんな私の音楽教育観に共感して下さる方がたのネットワークが今、生れようとしています。 このことは、私の一冊めの本が出版されたときからずっと私自身も願っていたことでした。

共にあゆむ

本当に音楽を愛し、本当に人を愛したいと思っている指導者の皆さん、
その思いがあれば必ず私たちは共に歩めると信じています。

誰をも愛せる

本当に「いい先生」とは、誰からも愛される先生のことではなく、
誰をも愛せる先生のことではないかと、いつも私は思っています。

ちえの輪倶楽部-北村智恵先生

北村 智恵
Chie Kitamura


音楽教育家。エッセイスト。ピアノ指導、楽譜の監修・校訂、作・編曲等。CDの楽曲解説やコンサートのプログラムノート・新聞・音楽雑誌への執筆等も三十数年に及ぶ。2018年まで相愛大学にて「ピアノ教授法」・「音楽学演習」の講師として二十余年、後進の指導にあたる。
全国各地でピアノ指導者のための講座・公開レッスンの講師をつとめる一方、学校関係や、教育セミナーの講演も多い。幼稚園での歌唱指導やリトミック指導の実践も三十数年におよび、幼児音楽教育にも力をそそいできた。
日頃クラシック音楽に疎遠な人たちのためのコンサートを企画しコメンテーターとして、クラシック音楽の普及に尽力。’94年より9年間、大阪府文化振興財団主催「セミナー・コンサート」の講師をつとめ、また阪神大震災や東日本大震災による被災遺児のためのチャリティーコンサートの活動も長年続けた。

’97年地域における福祉・文化活動への功労として『ライオンズクラブ高槻基金』を受賞。また、七十夜を超えて出演してきたNHK「ラジオ深夜便 ないとエッセー」においても音楽と社会の接点を語り、広く共感を得ている。
専門のショパン研究においては、2003年よりショパン作品全曲レクチャーコンサート・シリーズ「ショパンへの道」を企画し講師をつとめ、好評を博した。
音楽教育図書、ピアノ曲集など著書多数。なかでも、「シルバーエイジの今からピアニスト」は、日本で初めての高齢者を対象にしたピアノ教則本として、各方面から大きな反響をうけ、その指導内容や発表会の模様が、NHKのテレビ番組「にんげんドキュメント」として放映され、全国及び世界各地から大きな話題を呼んで何度も再放送された。

また、2004年に全音楽譜出版社より出版・重版されていた「ピーターラビット ピアノの本」は、現在(株)パナムジカより「ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本」としてリニューアル出版されているが、イギリスの原作絵本の各場面をピアノ導入本として作曲構成した、世界で初めての“表現から入るピアノ・メソッド”で、その指導上の工夫や画期的な内容、適確な教程は、専門家の間で高く評価されている。最新刊「プロの常識・ピアノを教えるための全10章」はピアノ指導の「教科書」として指導者から高評価を得ている。
日本ショパン協会関西支部理事。